全身を診察するのはなぜ?
東洋医学・経絡治療では、触診のことを切診といいます。例えば、症状が腰痛ひとつだとしても、その腰痛を引き起こしている体の状態を知ることが必要です。顔が赤くて、首も熱い、肩は硬めで皮膚がつっぱているな、とか。けれど、足は冷たくて足裏に汗をかいていて、左アキレス腱の内側が窪んで張りがないな、とか。弱っている経絡やツボに触れるとどう変化するかとか、体や部分的な上下、左右で温度差、ざらつき、凹みなど、色々なことを知って、証という治療方針につなげます。また、腰の張りが緩んだり、弱さに力が入ったり、顔の赤みが取れて、足が温かくなったりと、治療中にも変化するので、行った治療が適切であったか、次に何をすれがよいかを確認しながら治療を進めていきます。
お腹を触って何を診てるの?
お腹を診ることを腹診といい、これも切診のひとつです。体の働きである、東洋医学の五臓の虚実を診ます。虚とは、生気が不足した状態をいい、実とは、生気の働きを邪魔する余分なものが増えた状態をいいます。お腹でも、体全体のバランス、状態を知るわけです。お腹で虚実が混在しているということは、歪な形になっているということです。診るときには、そーっと、皮膚表面をなでるようにして診ます。そうして、五臓の気の働きを診るのです。治療をすると、張りや艶がなかったところが、ふっくらとして艶が出てきます。また、強張ってがさついていたようなところは、緩やかで滑らかになります。体が改善したことを示しています。
脉で何を診てるの?
脉を診ることを脉診といいます。東洋医学・経絡治療では、「脉状診」といって、脈拍数(遅数)だけでなく、脉が皮膚に近いところを打っているのか、それとも深いところで打っているのか(浮沈)、また力があるかないか(虚実)も診ます。これによって、体力や病気の勢いなどを知り、使う鍼の種類、鍼の刺し方が決まります。また、「比較脉診」といって、右手の浅いところ3経、深いところ3経、左手の浅いところ3経、深いところ3経、合わせて12経脈の状態を診ます。それぞれの経がどのような脈であるかで、体の状態を知ることができます。治療をすると脉も変化しますので、行った治療が適切であったか、次に何をすれがよいかを確認しながら治療を進めていくことができます。